自費と保険の違い

歯科の治療では、健康保険を使った保険診療と、保険のきかない保険外の自費診療があります。

前歯の治療を受けた際に、「健康保険が使えなかったので、治療費用が1本あたり10万円かかり、高かった。」とか、「入れ歯を入れようとしたら、かなり高い金額を提示された。」とか、歯科治療の費用の話を耳にすることがあると思います。

歯科治療のほとんどは保険診療でできます。保険診療と自費診療はなにが違うのでしょうか?

簡単に言ってしまえば、保険診療は国の定めた社会保険の規定内の材質・治療手法を使用した治療のことであり、自費診療とはその他の全ての治療のこととなります。

保険診療でももちろん、歯の噛むという本来の機能は復元できるのですが、現在のところ、最新の技術・材料を使用した治療は自費診療となります。

また、近年言われている金属アレルギーや矯正、インプラントなどの対応は残念ながら保険内治療と認められていません。

なぜかというと健康保険は命に関わる病気に適応され必要最低限のことしかできないように規定されているからです。

矯正治療に保険が適用されない理由

矯正治療は、不正咬合の人に対して行われる治療です。
不正咬合の代表である八重歯は病気ではない、という規定が健康保険にはあります。

八重歯の状態は、病気に罹っていて、その症状が現れたものではない、と考えられているのです。

また、八重歯を病気と認定しない理由のひとつとして、八重歯をそのまま放置したとしても、その人の生命が危険にさらされることはなく、寿命の長短に関係がないことがあげられます。

不正咬合によって、その人の生命の維持に危険を及ぼす恐れがないために、不正咬合は病気ではないと判断され、このため、矯正治療には健康保険が適用されないことになります。

インプラント治療に保険が適用されない理由

インプラント治療とは、歯が抜けた部分に、純チタン製のスクリューを骨に植え込んで、歯の代わりに使おうとする治療法です。

スクリューと骨との適合状態が良好ならば、歯があったときとほぼ同等の機能が発揮されることを期待できます。

歯が抜けてしまった状態の噛み合わせを回復する方法には、インプラント治療以外の方法もあります。
たとえば、ブリッジ(差し歯)や入れ歯などでも歯のない部分の噛み合わせを回復することができます。

これらブリッジ(差し歯)や入れ歯による治療は、健康保険が適用される保険診療です。

これらの治療が保険診療となっている理由は、歯が抜けたままの状態では十分に食べ物を噛み砕くことができず、消化不良に陥る危険性があり、これが原因となって健康に大きな影響を及ぼすことが予想されるためです。

つまり、歯のない状態を放置することは生命の維持に重大な影響を及ぼす危険性があるので、健康保険が適用されることになるのです。

一方、インプラント治療は、ブリッジ(差し歯)や入れ歯よりも、噛むという機能的な面からすると優れています。しかし、インプラントでなくとも噛むという機能を回復させることはできるのです。

つまり、インプラント治療は、患者さんにとっては非常に都合のよい治療ですが、それ以外の方法(ブリッジや入れ歯)で代用ができるので、健康保険の適用になっていない、ということです。

保険治療の限界

矯正治療とインプラント治療を除けば、その他の歯科治療のほとんどには健康保険が適用されています。
このことにより、患者さんは治療費用の3割を負担することで歯科治療を受けることができます。

保険診療とは、誰もが平等な治療が受けられるように考えられたとても良いシステムです。

では、なぜ、歯科医は前歯の治療に保険がきかないと言うのでしょうか。
その理由は、保険診療にはいろいろな制約があります。わかりやすい例として、使用する材料に対する制限があります。

前歯の治療は、現在では、保険診療の範囲内で、金属ではなく、歯の色と同じ白い歯に治療することができます。

しかし、保険診療で使える材質は、レジン(プラスチック)と決められています。
また、金属についても決められた金属を使用することになっています。
これらの制限があるなかで、出来上がった差し歯を患者さんが満足するとは限りません。

歯のない部分に新しい歯が入って、噛めるようにはなったが、見た目には満足できない、というケースがあります。

財政上限られた材料でしか治療が認められていないため、常にベストな治療が出来るとは限らないのです。
そのために数年おきに再治療を強いられてしまうことが多いのです。

保険診療と自費診療の違い

実際に歯科治療が終了したときの出来映えは、保険診療の範囲内で治療した場合と保険外の自費診療をした場合とでは、当然異なります。

目に見えない部分での治療が同じでも、目に見える部分の出来映えは異なります。それは、使用する材料が異なるからです。

仕上がりに大きな差が出てしまうことに、保険診療の限界があります。

保険外の自費診療の方が長持ちするか

健康保険を適用せずに、保険外の高価な材料で治療した場合に、支払った費用に見合う分だけ長持ちするか、というと確実にいえます。

なぜなら保険診療は噛むという機能を回復することを優先しているので使用する材料、型どりのための材料も最低限のものを使用します。

なので2年ぐらい持てばよい。
虫歯になったらまたやり直すか歯を抜いて入れ歯かブリッジにすれば問題ないという発想の元に成り立っています。

一方、自費診療は型どりの材料から保険と違い精度の高いものを使用します。
自費診療で前歯の値段が保険診療に比べて高いのは使用する材料の他に技工料も違うからです。

型どりの段階から精度の高いものを使用することにより保険診療のものに比べて虫歯になりにくいと言えます。
前歯は歯科医師が型どりをして実際に作るのは技工士ですが腕の良い、設備の整った技工所で作るとそれなりに料金が発生します。

精度の高いものを作ろうとすると顕微鏡を遣って仕上げないといけないほどです。
尼崎ガーデン歯科では信頼のおける技工所、技工士に補綴物(かぶせもの)を発注しています。

保険診療の料金は日本全国一律ですが自費診療の料金が医院によって値段が違うのは材料費や技工料などの違いによるものです。
料金があまりにも安いときは材料費や技工代など何かを犠牲にしないと実現できません。

差し歯などの耐久性は、その材質の違いよりも、口の中の状態に大きな影響を受けます。
つまり、患者さんの口の中の状況が、年齢的に悪化する傾向がある場合や、歯周炎などの悪条件が新たに加わると、差し歯などの耐久性は大きく変化してしまいます。

高価な自費診療を受けた場合は、治療後のメインテナイスを十分に行い、長持ちするように患者さんにも心がけていただく必要があります。

保険診療では丁寧な治療を受けることができないか

保険診療でも、保険外の自費診療でも、一見、見えない部分は同じように治療されます。
ミクロの単位で精度が異なったり見た目の美しさの問題は自費診療に劣ります。

尼崎ガーデン歯科では自費診療において最高のものをこだわらないと保険診療も制約の中でより良いベストのものは出来ないと考えます。

保険診療で出来ることは保険診療内で処置いたしますが、あくまでそれはかめるという機能回復が優先であることをご理解ください。

材質の違い

保険で使用している金属

  • アマルガム合金
  • 銀合金
  • 12%金銀パラジウム合金
  • コンポジットレジン
  • その他

自費診療は材質に制限はありません

  • オールセラミック
  • ハイブリッドセラミック
  • ゴールド
  • チタン
  • 超硬質コンポジットレジン

【参考文献】株式会社ヘルシー

歯は小さいわりに高いイメージがありますが、それは全くの誤解です。

高級な靴や時計と歯のかぶせ物を同じ感覚で捉えていませんか?
高級な靴や時計は大事な時にだけ使い、とても大切に扱って初めて長持ちするものです。

しかし歯は大切に扱うことは出来ても、使わないでおくことが出来ません。

毎日硬い物や軟らかい物、冷たい物や熱い物、色々な物を咬み潰す、とても過酷な環境の中で長期に使用出来る材質でなければいけないのです。
また唾液の存在がさらに過酷さを倍増させているのです。

最近アレルギー体質の人が増えているようです。
個人差はありますが生体は色々なものにアレルギー反応を起こします。「金属アレルギー」もその一つで、現在はあまり使われていない「アマルガム」という金属は微量ですが、Hg(無機水銀)を含みアトピー性皮膚炎の原因の一つといわれています。

金属アレルギーと言えばイヤリングやネックレスを思い浮かべますが、それは金属が触れている場所で汗などの水分により金属イオンが溶け出ることで、アレルギー反応を起こします。

お口の中には常に唾液が存在するため、不安定な金属は腐食し体内に少しずつ取り込まれてしまいます。
アレルギー反応は、金属のかぶせ物を入れたからといってすぐに現れるものではありません。

現にお口の中には沢山の金属が入っていても何の症状もない方が多いと思います。
しかし「花粉症」と同じように日々蓄積され、あるレベルを超えて初めて症状として現れます。

金属アレルギーは一度なると治らないといわれているため、原因となる金属を除去し体内に取り込まれないようにするしか対策がないのです。

そのため、お口の中には、腐食せずに長期に安定し過酷な環境下でも耐えられる材質、いわゆる「生体親和性」が高いものを使用する必要性があるのです。

精度の違い

自費と保険診療では素材だけではなく使用できる印象材にも違いがあります。

印象材の違いにより材質を整形する際の精度にも違いが現れます。

保険で使用している印象剤

  • アルジネート印象材
  • 寒天印象材
  • その他

保険診療で使用している寒天印象材は、ご存知の通り食品の寒天と同じ海草から出来ています。

高温で溶けて低温で固まる性質を利用して型を採ります。

精度は良いのですが、水分を多く含んでいるため時間の経過や少しの温度変化で、乾燥し変形してしまいます。

その分精度が悪くなり、詰め物やかぶせ物に隙間が生じてしまいます。

数年後そこから虫歯になり詰めが外れるなど、再治療の原因の一つになってしまうのです。

自費で使用している印象剤

  • シリコーン系印象材
  • ラバー系印象材
  • その他

自費診療で使用しているシリコーン系印象材は、もっとも精密で型を採った後2~3日しても精度を保っています。

そのため限りなく隙間のないピッタリとした詰め物やかぶせ物が出来上がり、その後の再治療はほとんどありません

審美性の違い

保険診療の審美性

  • 前から3番目の歯までかぶせものの表面の材質はプラスチックのみ
  • プラスチックは吸水するので変色します
  • 奥歯は金属のみ

自費は制限はありません

  • 全て白くできます
  • 材質もセラミックなので吸水せず変色しません
  • 金属もゴールド、チタンなので生体親和性が高い