粘液嚢胞は、小唾液腺から分泌される粘液の流出障害によって生ずる組織内の貯留嚢胞です。多くは、導管の損傷によって粘液が結合組織内に溢出貯留し、嚢飽を形成し、腺管の閉塞により粘液が腺管内に貯留して、嚢胞を形成するものです。
原因としては、反復性の慢性外傷や習癖、軽微な慢性炎症が考えられます。
好発部位は、下唇、舌、頬粘膜などに分布する小唾液腺に関連して発生することが多く、下唇のものは口唇粘液嚢胞と呼ばれ、特に正中と口角の間に多いものです。
まれに舌や舌下部にも発症することがあります。
症状は、粘膜面から半球状に膨隆する直径5~15㎜のほぼ球状の軟らかい小嚢胞で、無痛性、波動を触れます。
表在性のものは内容液が透視でき、青紫色を呈するが、深在性の場合には正常な粘膜で被覆されています。
習癖(咬唇癖、吸唇癖)などがあればその改善や刺激因子の除去が大切です。
治療法としては周辺部の組織を合めて外科的摘出をします。特に下唇のものは、自壊と再発を繰り返しますので小唾液腺を含めて除去します。
粘液嚢胞は、切開などで縮小しても再発するため、全摘が望ましいです。
嚢胞の自壊直後、穿刺直後では、周囲組織との壊界が不明瞭なため、嚢胞が膨隆した時に摘出術を行います。
嚢胞部位に接触する歯牙、補綴物の鋭縁を除去し再発を防上します。
嚢胞を周囲組織より剥離、摘出します。困難な場合は、メスを用いて切離します。嚢胞をつぶさないように注意します。
通常摘出創の底面に腺組織の露出が見られるが、その一部または、創辺縁部付近に小唾液腺の塊があるのでこれらは再発防止のため摘出、清掃します。
粘膜を縫合して閉鎖します。
縫合直後は症倒により口唇の厚みが増すこともあるが、ロ唇粘膜は進展性に富むため、5日前後でこの変形は修復されます。
術後まれに、疼痛による発音障害、咀嚼障害、口唇の違和感、感覚の麻痺などが起こることがあります。